浮世絵に代表される伝統木版画は、絵師・彫師・摺師の三者と、それをプロデュースする版元による総合芸術です。各分野の熟練の職人技を結集させることでその美は生まれます。
山桜の版木、手漉きの和紙、そして水性の絵具など、日本独自の素材を用い、他の版式では表現できない木版ならではの鮮やかな発色と温かみのある風合いを醸し出します。
また、浮世絵の制作技術として、美しさと同時に商業印刷ゆえの効率性を求めたことから生まれた簡潔で洗練された独特の省略美が魅力です。
本展の出品作は、伝統木版画の技術を継承するアダチ版画研究所の彫師・摺師によって制作されました。
アダチ版画研究所は1928年の創業以来、高い品質水準を維持するよう、版元と彫師・摺師が一つ屋根の下で作業をする工房スタイルにこだわっています。
また1994年には、伝統木版画技術を保存・継承していくことを目的とし、アダチ伝統木版画技術保存財団を設立しました。
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